定期借地権でローンは組める?審査・残存期間・注意点まとめ

定期借地権でローンは組める?審査・残存期間・注意点まとめ

結論から言うと、定期借地権付き物件でも住宅ローンを組むことはできないと思われがちなのですが、全くできないということではありません。金融機関によっては定期借地権専用のローン商品を用意しているほか、フラット35も一定の条件を満たせば利用できます。ただし、土地を担保にできないという性質上、通常の所有権の物件とは異なる審査基準が適用されるので、土地の持分も購入する所有権より審査がきびしい傾向があります。

本記事では、定期借地権の基礎知識から、審査がきびしくなる理由、使える金融機関と商品の選び方、地主の承諾書の取得方法、資金計画の注意点まで、購入前に知っておきたい情報を順を追って解説していきます。

目次

  1. 定期借地権とは?種類と基本を整理
  2. 定期借地権でローンは組める?
  3. 審査が厳しくなる3つの理由
  4. 金融機関とローン商品の選び方
  5. 残存期間と借入期間の関係
  6. 地主の承諾書と取得の流れ
  7. 資金計画で見落としがちな費用
  8. 購入前に知っておきたいデメリット
  9. こんな方には向かない物件かも
  10. 売却・相続時のローンの扱い
  11. 購入前の確認チェックリスト

1. 定期借地権とは?種類と基本を整理

定期借地権付き物件のローンを正しく理解するには、まず「借地権」そのものの種類と特徴を押さえておく必要があります。借地権とは、建物を所有することを目的として他人の土地を借りる権利のことです。大きく分けると「旧法借地権(きゅうほうしゃくちけん)」「普通借地権(ふつうしゃくちけん)」「定期借地権(ていきしゃくちけん)」の3種類があります。

種類根拠法契約期間更新特徴
旧法借地権旧借地法(1992年以前)堅固建物:60年、非堅固:30年法定更新あり(原則半永久的)借地人の権利が非常に強い。現在も多数存在する
普通借地権借地借家法(1992年〜)最初:30年以上、更新後:20年以上更新可能(正当事由なければ地主は拒否不可)旧法に近い保護。
定期借地権借地借家法(1992年〜)一般:50年以上、事業用:10〜50年未満更新なし(期間満了で必ず終了)期間終了後は更地返還が原則。近年の新築分譲で見られる

大樹不動産にご相談いただく借地権のほとんどは旧法借地権という昔からの借地契約です。借地人が非常に手厚く守られており、長い期間土地を使用することができます。

一方で、近年の新築マンションや戸建て分譲で「定期借地権付き」と記載された物件は、表の一番下にある「定期借地権」にあたります。

定期借地権の大きな特徴は、「更新がない」という点です。契約期間が満了すると、借地人(建物の所有者)は建物を取り壊して土地を更地にして地主に返還しなければなりません。これが住宅ローンの審査においても、重要な要素になってきます。

定期借地権の3つの種類

定期借地権にも、さらに3つの種類があります。

一般定期借地権は、存続期間が50年以上で、期間満了後に更地返還するタイプです。現在分譲されているマンションや戸建てのほとんどはこの種類です。

事業用定期借地権は、存続期間が10年以上50年未満で、コンビニや飲食店など事業用の建物にのみ使われます。住宅には利用できません。

建物譲渡特約付借地権(たてものじょうととくやくつきしゃくちけん)は、30年以上経過した後に地主が建物を買い取ることを条件とした借地権です。一部の物件で採用されていることがあります。

住宅ローンを検討する際に問題になるのは、主に「一般定期借地権」が設定された物件です。以下の解説はこの一般定期借地権を前提に進めますね。

参考法令: 借地借家法第22条(一般定期借地権) | e-Gov法令検索


2. 定期借地権でローンは組める?

「定期借地権の物件って、ローンが組めないと聞いたけど本当?」と心配される方は多いですが、結論からいうと、定期借地権付き物件でも住宅ローンを組むことは可能です。

ただし、通常の所有権付き物件と同じ感覚で金融機関を選ぶと、審査に通らなかったり、希望の借入額に届かなかったりすることがあります。定期借地権付き物件には特有の条件があり、それをきちんと理解した上で準備を進めることが大切です。

近年、定期借地権付きマンションは首都圏を中心に供給が増加しています。マンション価格が高騰するなか、土地を所有しない分だけ購入価格を所有権物件より抑えられるという点から注目を集めており、金融機関側でも対応商品を整備しています。長谷工総合研究所の調査(2024年7月)によると、2020年以降、都内23区での定借マンション供給は安定して増加しており、供給拡大傾向が続いていることが確認されています。

とはいえ、「どの金融機関でも通る」というわけではありません。銀行によって取り扱い条件が大きく異なるため、事前に複数の金融機関に相談することが重要です。「定期借地権付きの物件を購入したいが、どのローンを選べばいい?」という方は、ぜひ定期借地権に詳しい不動産会社に相談されることをおすすめします。


3. 審査が厳しくなる3つの理由

では、なぜ定期借地権付き物件の住宅ローン審査は通常より難しくなるのでしょうか。大きく分けて3つの理由があります。

ローン審査を難しくさせる理由とは

理由① 土地を担保にできない

住宅ローンを組む際、金融機関は融資した金額を回収できないリスクに備えて、物件に「抵当権(ていとうけん)」を設定します。抵当権とは、返済が滞ったときにその不動産を競売(けいばい)にかけて債権を回収できる権利のことです。

所有権付きの物件であれば、土地と建物の両方に抵当権を設定できます。一方、定期借地権付き物件の場合、土地は地主のものですから、建物と借地権にしか抵当権を設定できません。土地の担保がない分、金融機関にとっては回収できる担保価値が下がります。そのため、融資可能な上限額が低くなったり、審査基準が厳しくなったりする傾向があるのです。

理由② 地主の承諾書が必要になる

定期借地権付き物件でローンを組む場合、多くの金融機関が地主の承諾書を求めます。これは、抵当権を設定することや、万一返済が滞った際の処理について地主の了承を得るためです。

承諾書の取得が難しいケースや、地主側が条件を付けてくる場合には、そもそもローンの審査が成立しないこともあります。地主との関係や契約内容が、ローン審査にも影響してくるわけです。

理由③ 借入期間が残存期間に制限される

通常の住宅ローンは一般的に35年程度まで組めますが、定期借地権付き物件の場合、借地権の残存期間(ざんぞんきかん)、つまり契約終了までの残り期間を超えたローンを組むことはできません。

たとえば、借地期間50年の物件を新築時から購入する場合はある程度の期間が確保されますが、中古物件として残存期間が20年しかない物件を購入しようとすると、金融機関によっては「残存期間から10年を差し引いた期間」を上限とするケースもあり、借入期間は10年前後に制限される場合があります。


4. 金融機関とローン商品の選び方

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定期借地権付き物件のローンには、大きく分けて「一般の住宅ローン(定期借地権対応)」と「定期借地権専用ローン」があります。ここでは主な選択肢を整理します。

フラット35(住宅金融支援機構)

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定型のローンです。定期借地権付き物件にも対応しており、比較的利用しやすいローンのひとつです。

借入期間は「借地権の残存期間から建物の耐用年数を引いた期間」などの条件に収まる必要があります。また、物件が一定の技術基準を満たすことも条件のひとつです。フラット35は金利が長期固定であるため、将来の金利上昇リスクを避けたい方に向いています。定期借地権物件を検討する際は、まず確認したい選択肢です。

定期借地権専用ローン

銀行によっては、定期借地権付き物件に特化した専用ローン商品を用意しているところがあります。定期借地権の仕組みを前提とした審査が行われるため、担当者との認識のズレが生じにくいという利点があります。借地期間に合わせた返済計画を組みやすい点も特徴です。一方、金利がやや高めに設定される場合もあるため、総返済額を比較することが大切です。

銀行ごとの対応の違いに注意

定期借地権付き物件へのローン対応は、金融機関によって大きく異なります。積極的に取り扱う銀行もあれば、そもそも定期借地権物件を対象外としている銀行もあります。複数の金融機関に事前相談(仮審査)を申し込み、条件を比較することを強くおすすめします。不動産会社や住宅ローンアドバイザーに相談すると、対応している金融機関を紹介してもらえることもありますよ。

マンションの場合の注意点

定期借地権付きマンションの場合、戸建てとは異なる点がいくつかあります。マンションは区分所有(くぶんしょゆう)という形をとるため、借地権もマンション全体の敷地に対して設定されています。そのため、ローンを組む際の担保設定は、専有部分(各住戸)と敷地利用権(借地権の持ち分)がセットになります。

また、金融機関側はマンション全体の管理状況や管理組合の健全性も審査材料にする場合があります。管理費・修繕積立金・解体積立金の滞納状況なども確認されることがあるため、購入前に管理組合の財務状況を確認しておくことが大切です。

参考: フラット35 定期借地権付き住宅の取扱いについて | 住宅金融支援機構 フラット35公式サイト


5. 残存期間と借入期間の関係

定期借地権付き物件でローンを組む際に、多くの方が最初に戸惑うのが「借入期間の上限」です。通常の住宅ローンでは、申込者の年齢や返済能力に応じて最長35年程度まで借入期間を設定できます。しかし定期借地権付き物件の場合、「借地権の残存期間」がひとつの上限になります。

残存期間と借入期間の目安

金融機関によって基準は異なりますが、一般的には「残存期間から一定年数(10年程度)を差し引いた期間」が借入可能な上限の目安になります。たとえば、残存期間が40年の物件であれば、借入期間の上限はおおむね30年前後となることが多いです。残存期間が25年しかない中古物件であれば、借入期間は15〜20年程度に制限される可能性があります。

中古の定期借地権物件は特に注意

中古で定期借地権付き物件を購入する場合は、残存期間の確認が非常に重要です。借地期間が50年で設定されていた物件でも、築20年であれば残存期間は30年しかありません。残存期間が短いほど借入期間も短くなり、月々の返済額が増えます。また、将来的な売却を検討した場合にも、残存期間が短い物件は買い手が見つかりにくくなるというリスクもあります。価格の割安感だけでなく、残存期間も必ず確認するようにしてください。


6. 地主の承諾書と取得の流れ

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定期借地権付き物件でローンを組む際、多くの金融機関が「地主の承諾書」を求めます。ここでは、承諾書の内容と取得の流れについて解説します。

なお、定期借地権付きマンションを購入する場合は、購入者個人が地主と直接やり取りする必要は通常ありません。マンションの借地契約はデベロッパーや管理組合と地主の間で結ばれており、ローンに必要な承諾も分譲時に包括的に整備されているケースがほとんどです。この章は主に戸建の定期借地権物件を購入される方向けの内容となります。

地主の承諾書とは何か

地主の承諾書とは、借地権付き建物に抵当権を設定することについて、地主が了承した旨を記した書面です。金融機関が承諾書を求める理由は、万一ローンの返済が滞った場合に、借地権付き建物を競売等で処分する必要が生じる可能性があるためです。その際に地主の了解なしに手続きを進めることはできないため、事前に承諾を得ておく必要があるわけです。

承諾書には一般的に、「借地権者が抵当権を設定することを承諾する」「契約を解除する場合は金融機関に事前に通知する」「法的手続きが進む場合に協力する」といった内容が記載されます。金融機関によって書式や要求する内容が異なりますので、事前に確認しておくことが大切です。

承諾書の取得手順

承諾書の取得は、基本的に以下の流れで進みます。まず購入する物件の売主(または仲介会社)を通じて、地主に対して承諾書をいただくこと依頼します。次に金融機関所定の書式(または地主・売主が作成した書式)で承諾書を作成し、地主の署名・押印をもらいます。その後、金融機関に提出して審査を進めます。

注意したいのは、地主が承諾書の交付を渋るケースがある、という点です。法律上、地主は正当な理由がなければ抵当権設定を拒否できないとされていますが、実務上は地主の心証を悪くしないよう、丁寧なコミュニケーションが求められます。地主との関係が良好でない場合や、地主の連絡先が不明な場合には、承諾書の取得に時間がかかることもあります。購入を決める前に、承諾書を取得できそうか確認しておくことが大切です。

借地権の登記との関係

承諾書の取得と合わせて確認しておきたいのが「登記の状況」です。借地権は、借地上の建物に自分名義の登記をすることで、第三者に対して権利を主張できます(借地借家法第10条)。定期借地権付きマンションであれば区分所有登記、戸建てであれば建物登記がされているのが通常です。金融機関がローンの担保として確認するのも、この建物登記の状況です。登記内容に不明な点がある場合は、司法書士に相談することをおすすめします。

参考法令: 借地借家法第10条(借地権の対抗力)、民法第369条(抵当権の設定) | e-Gov法令検索


7. 資金計画で見落としがちな費用

定期借地権付き物件は、購入価格が所有権付き物件よりも割安になる傾向があります。国土交通省の資料によると、マンションで所有権物件の80%前後、戸建では60%前後が定期借地権物件の価格の平均的なイメージとされています。ただし、住宅ローンの返済以外にも継続的に支払いが発生する費用があります。これを事前に把握していないと、購入後に「思ったより毎月の出費が多い」という事態になりかねません。

毎月発生するランニングコスト

地代(ちだい)は、土地を借りる対価として毎月地主に支払う費用です。金額は物件や立地によって異なりますが、月額数千円〜数万円程度が一般的です。地代は固定資産税額や周辺地価を参考に設定されることが多く、将来的に値上がりする可能性もある点に注意が必要です。

管理費・修繕積立金は、マンションの場合に毎月発生する費用です。定期借地権マンションでは、将来の解体に備えた「解体積立金(かいたいつみたてきん)」が管理費等に上乗せされることが多いため、通常の所有権マンションよりも月々の負担が高くなる傾向があります。

購入時に発生する一時金

保証金(ほしょうきん)は、借地権設定の際に地主に預ける一時金です。契約終了時に返還されることが前提ですが、金額は物件によって異なります。

権利金(けんりきん)は、保証金とは異なり返還されない一時金です。設定される場合とされない場合があり、契約内容をよく確認する必要があります。これら一時金はローンの借入額とは別に手元資金として用意する必要があるため、資金計画の段階でしっかり確認しておきましょう。

将来の解体費用

定期借地権は契約期間が満了すると更地で返還する義務があります。そのための解体費用も長期的な計画に入れておく必要があります。マンションの場合は管理組合が積み立てる解体積立金として毎月徴収されます。戸建の場合は自分で計画的に積み立てる必要があります。解体費用は建物の規模や構造によって異なりますが、一般的に戸建で100万円〜300万円程度、マンションは1戸あたり数十万円〜それ以上になることもあります。

費用の種類発生タイミング目安(参考)備考
地代毎月月額数千〜数万円変動する場合があります
管理費・修繕積立金毎月(マンション)物件による解体積立金が加算される場合あり
保証金購入時物件による契約終了時に返還
権利金購入時物件による返還なし
解体費用(積立)毎月または将来戸建100〜300万円程度マンションは管理組合が積立

参考: 国土交通省「定期借地権の解説」 | 国土交通省公式サイト


8. 購入前に知っておきたいデメリット

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定期借地権付き物件は価格の割安感が注目されがちですが、購入前に特性をきちんと把握しておくことが大切です。所有権付き物件とは異なる点がいくつかありますので、事前に整理しておきましょう。

契約満了後は必ず退去・更地返還が必要

定期借地権の大きな特徴は、「更新がない」という点です。契約期間(一般的に50年以上)が満了すると、借地人は建物を取り壊して更地にして地主に返還する必要があります。住み続けたい・子どもに残したいというご希望がある場合は、ライフプランとの照らし合わせが特に大切になります。

たとえば40代で新築の定期借地権マンションを購入した場合、借地期間が50年であれば90代で退去が必要になります。老後の住まいの確保という観点から、契約満了時期とご自身のライフプランが重なっていないかを必ず確認してください。

残存期間が短くなると売却が極めて困難に

定期借地権付き物件は、残存期間が短くなるにつれて資産価値が大きく下がります。残存期間が20〜30年を切ると、住宅ローンを組める金融機関がほぼなくなるため、買い手が現れにくくなります。売りたいと思ったときに売れない、という状況になるリスクがあるのです。

所有権付きの物件であれば、築年数が経過しても土地の価値が残ります。しかし定期借地権の場合、土地は地主のものですから、年数とともに物件の価値が下がる傾向があります。将来の売却を視野に入れている方は、この点を踏まえた上で検討されることをおすすめします。

ローンの選択肢が狭く借入条件も制限される

第3章・第4章でも解説したとおり、定期借地権付き物件は住宅ローンの審査が通常より厳しく、対応している金融機関も限られます。借入期間は残存期間に縛られるため、中古物件では月々の返済額が大幅に増えることもあります。「価格は安くても、毎月の支払いは所有権物件と変わらない」というケースも起こりえます。

毎月のランニングコストが重なる

住宅ローンの返済に加えて、地代・管理費・修繕積立金・解体積立金が毎月発生します。特にマンションの場合は、通常の所有権マンションより管理費等の負担が高くなる傾向があります。購入価格の安さだけで判断すると、月々の総支払額が予想を上回ることがあります。

建物を資産として次世代に残せない

所有権付きの物件であれば、建物と土地をそのまま子どもや孫に相続させることができます。しかし定期借地権付き物件は、契約期間が終了すれば建物を解体して土地を返さなければなりません。相続財産として長期にわたって引き継がせることが難しく、「家族に財産を残したい」という方には向かない面があります。


9. こんな方には向かない物件かも

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定期借地権付き物件には一定のメリットがある一方、ライフプランや価値観によっては「もう少し確認しておけばよかった」と感じるケースもあります。購入後に後悔しないよう、事前に確認しておきたいポイントをまとめました。

将来、子どもや孫に財産を残したい方

前述のとおり、定期借地権付き物件は契約期間満了後に更地返還が必要です。建物を相続財産として次世代に引き継がせることが難しいため、「持ち家を子どもに残したい」という強い希望がある方には向きません。

老後もずっと同じ家に住み続けたい方

借地期間の満了時期が老後と重なる場合、高齢になってから住み替えが必要になる場合があります。新しい住まいの確保や引っ越しの費用・負担は、年齢を重ねるほど大きく感じることもあります。終の棲家(ついのすみか)として考えている方は、契約満了時の年齢を事前に確認しておくと安心です。

残存期間が短い中古物件を検討している方

残存期間が20〜30年を切っている中古の定期借地権物件は、ローンが組みにくく将来の売却も困難です。価格が割安に見えても、毎月の返済負担が大きくなったり、出口(売却・相続)が見えにくくなったりするリスクがあります。残存期間が短い物件には、特に慎重な判断が必要です。

数年後に売却する可能性がある方

転勤や家族構成の変化など、将来的に売却の可能性がある方にも注意が必要です。定期借地権付き物件は売却時に地主の承諾が必要で、承諾料が発生することもあります。また買い手が見つかりにくいため、売りたいタイミングで売れないリスクがあります。

「定期借地権付き物件が自分に合っているかどうか」は、価格だけでなく、残存期間・ライフプラン・将来の売却可能性などを総合的に見て判断することが大切です。判断に迷う場合は、定期借地権に詳しい不動産会社にご相談されることをおすすめします。


10. 売却・相続時のローンの扱い

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定期借地権付き物件を購入した後、売却や相続が発生した場合にローンはどうなるのか、気になる方も多いと思います。

売却する場合

ローンが残っている状態で売却する場合は、原則として売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。これは所有権付き物件と同じです。ただし、定期借地権付き物件は残存期間が短くなるほど資産価値が下がる傾向があります。売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」になるリスクもゼロではありません。残存期間が短くなる前に売却を検討するのが、リスクを抑えるうえで賢明です。

また、定期借地権付き物件の売買には地主の承諾が必要です。承諾料が発生することもありますので、売却を考え始めた時点で地主との関係を確認しておくことをおすすめします。

相続する場合

住宅ローンには一般的に「団体信用生命保険(だんたいしんようせいめいほけん)」、通称「団信(だんしん)」が付いています。債務者(ローンを借りている方)が亡くなるまたは高度障害状態になった場合、残りのローンが保険によって完済されます。定期借地権付き物件でも、団信の仕組みは基本的に同じです。ローンが完済されれば抵当権が抹消され、建物と借地権は相続人がそのまま引き継ぐことができます。

なお、借地権を相続する際は地主の承諾は不要です。相続したタイミングで地主に連絡をとり、良好な関係を維持することが、その後の売却や建て替えなどにもプラスに働きます。相続後も残存期間を意識した計画を立てることが大切です。

マンションの場合の相続

定期借地権付きマンションを相続した場合、専有部分の所有権と敷地利用権(借地権の持ち分)がセットで相続されます。管理組合への届出など必要な手続きを確認し、管理費等の支払い義務も引き継ぐことになる点も覚えておきましょう。

参考法令: 借地借家法第19条(借地権の譲渡・転貸)、民法第896条(相続の一般的効力) | e-Gov法令検索


11. 購入前の確認チェックリスト

定期借地権付マンション、戸建ての購入前の確認チェックリスト

定期借地権付き物件の住宅ローンについて、ここまで解説してきました。最後に、購入前に確認しておくべきポイントを整理しておきます。

借地権の内容について

  • 一般定期借地権か、それとも別の種類か
  • 借地期間と残存期間はどのくらいか
  • 契約書の内容(地代・保証金・権利金の有無など)

ローンについて

  • 希望する金融機関が定期借地権付き物件を取り扱っているか
  • 残存期間に見合った借入期間が確保できるか
  • 地主の承諾書が取得できる見込みがあるか
  • フラット35など複数の選択肢を比較したか

費用・資金計画について

  • 毎月の地代・管理費・解体積立金を含めた総支払額を計算したか
  • 購入時の一時金(保証金・権利金)を手元資金で用意できるか
  • 将来の売却・解体も見据えた長期計画を立てているか

定期借地権付き物件には、所有権物件にはない魅力もあります。好立地でありながら購入価格を抑えられること、土地の固定資産税がかからないこと、そして定期借地権マンションの場合は都心部や駅近など利便性の高いエリアの物件が多い点は、メリットといえます。

一方で、契約期間の満了・ローンの制約・将来の売却といった点では、所有権物件とは異なる視点での判断が必要になります。価格の割安感だけでなく、残存期間・毎月の総支払額・ご自身のライフプランとの相性をしっかり比較検討した上で、納得してご購入されることをおすすめします。不安な点や疑問がある場合は、早めにご相談ください。


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定期借地権付き物件の購入は、ローンの条件確認や地主との手続き、将来の売却・解体まで見据えて進めることが大切です。不明な点は放置せず、早めにご相談ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました😊

お読みいただきありがとうございました

この記事の監修者

三橋 征直(みつはし まさなお)
大樹不動産株式会社 代表取締役
宅地建物取引士 登録番号(東京)第181718号
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最終更新日:2026年3月11日

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