相続の戸籍謄本、もう複数の役所を回らなくて大丈夫です

相続の戸籍謄本はどこの市区町村役場でも取得できます


相続手続きでは、亡くなった方の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本が必要です。

以前は、結婚や引っ越しのたびに戸籍が作り直されていたため、複数の市区町村役場に問い合わせて戸籍を集める必要がありました。親戚や知人から「親の相続の時は大変だったよ」「相続の戸籍集めは本当に大変だった」と聞いたことがありませんか?

「相続が大変」これはどんな相続にも手続きがあり、楽なことはなさそうです。

では、「戸籍集めが大変だった」は現在はどうでしょう??

・・・そうなんです、2024年3月1日から「戸籍謄本の広域交付制度」が始まっており、本籍地以外の市区町村役場でも、全国の戸籍謄本をまとめて取得できるようになっています。

制度スタートからしばらく経っているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。ただ、戸籍を集める機会はそう何度もありません。

本記事では、改めてこの制度の内容と、私が2024年4月に母の戸籍を取得した体験をもとに、具体的な手順や注意点をお伝えします。

🍀 この記事でわかること

  • 相続手続きで必要な戸籍謄本とは何か
  • 広域交付制度で何が変わったのか
  • 実際の取得手順と待ち時間の目安
  • 郵送請求と窓口請求の違いと注意点

目次

  1. 相続手続きで必要な戸籍謄本とは
  2. 広域交付制度で変わった戸籍取得方法
  3. 昔の戸籍取得はこんなに大変だった
  4. 広域交付制度を利用した戸籍の取得手順
  5. 実例:新宿区役所で母の戸籍を取得した体験
  6. 郵送請求という選択肢もあります
  7. よくある質問
  8. まとめ:相続手続きの第一歩は戸籍取得から

相続手続きで必要な戸籍謄本とは

相続手続きに必要な戸籍謄本

相続手続きを進めるにあたって、最初に必要になるのが戸籍謄本です。

銀行での預金解約、不動産の名義変更(相続登記)、相続税の申告など、あらゆる相続手続きで「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を提出してください」と言われます。

戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は同じもの

戸籍と呼んでいますが、一般的ないくつかの呼び方があります。聞きなれないと同じものか迷ってしまうかもしれないので、念のため整理しておきましょう。

  • 戸籍謄本(こせきとうほん)
  • 戸籍全部事項証明書(こせきぜんぶじこうしょうめいしょ)
  • 戸籍証明書

これらはすべて同じものを指しています。

平成6年の戸籍法改正で戸籍がコンピュータ化された際に、名称が「戸籍謄本」から「戸籍全部事項証明書」に変わりました。ただ、今でも「戸籍謄本」という呼び方の方が一般的で、役所の窓口でも「戸籍謄本をください」と言えば通じます。

この記事では、読みやすさを考えて「戸籍謄本」という呼び方で統一していますが、正式名称は「戸籍全部事項証明書」です。

「出生から死亡まで」の意味

「出生から死亡まで」というのは、文字通り生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍ということ。

なぜすべての戸籍が必要なのかというと、相続人が誰であるかを確定するためです。

たとえば、亡くなった方に前婚があり、その際に生まれたお子さんがいらっしゃる場合、その方も相続人になります。知っている範囲の人が全てだと思っていても、戸籍を収集したことで分かることもあります。そのため、出生から死亡までの戸籍が必須になっています。

なぜ複数の戸籍が必要なのか

昔の戸籍制度では、結婚や引っ越し、家督相続などのたびに戸籍が作り直されていました。

具体的には:

  • 結婚して新しい戸籍を作った
  • 本籍地を移転した
  • 戦前の家督相続で戸籍が改製された
  • 法改正により戸籍の様式が変わった(昭和32年、平成6年など)

このように、一人の人生の中で戸籍が何度も作り直されることが普通でした。

ですから、「出生から死亡まで」の戸籍を揃えようとすると、3通~10通以上になることも珍しくありません。

広域交付制度で変わった戸籍取得方法

制度の概要と開始時期

2024年3月1日から、戸籍謄本の広域交付制度が始まりました。

この制度により、本籍地以外の市区町村役場でも、全国の戸籍謄本をまとめて取得できるようになったんです。

つまり、東京に住んでいる方が、北海道や沖縄に本籍がある戸籍でも、最寄りの区役所で取得できるということですね。

参考法令: 戸籍法第10条の2(令和元年法律第17号による改正) | e-Gov法令検索
参考: 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行) | 法務省公式サイト

対象となる戸籍の種類

広域交付制度で取得できるのは:

  • 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
  • 除籍謄本(じょせきとうほん・除かれた戸籍の謄本)
  • 改製原戸籍(かいせいげんこせき・法改正前の古い様式の戸籍)

相続手続きで必要な戸籍は、すべてこの制度で取得できます。

ただし、個人の事項だけを抜き出した戸籍抄本(こせきしょうほん)は広域交付の対象外ですので、ご注意ください。

昔の戸籍取得はこんなに大変だった

あちこちの役所に問い合わせる必要があった

広域交付制度が始まる前は、戸籍がある市区町村ごとに、それぞれ請求する必要がありました

たとえば:

  1. 最後の本籍地(死亡時の戸籍)を取得
  2. その戸籍を見て、一つ前の本籍地を確認
  3. その市区町村に請求
  4. さらに前の戸籍を確認して請求
  5. 出生時の戸籍まで遡る

このように、数珠つなぎで戸籍を集めていく作業が必要だったんですね。

親戚から「お父さんの相続のとき、3つも4つもの役所に請求して本当に大変だった」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

時間も費用もかかる作業だった

複数の市区町村に請求する場合:

  • 郵送でのやり取りに時間がかかる(往復で1~2週間)
  • 定額小為替を購入して送る手間
  • 返信用封筒と切手の準備
  • 何度も役所とやり取りをする手間

すべての戸籍を集めるまでに、1か月以上かかることも珍しくありませんでした

相続手続きには期限があるものもあります(相続放棄は3か月以内、相続税の申告は10か月以内など)ので、戸籍集めに時間がかかると、全体のスケジュールが厳しくなることもあったんです。

広域交付制度を利用した戸籍の取得手順

戸籍の取得手順の説明章、戸籍請求書の画像

窓口での請求方法

広域交付制度を利用する場合、必ず窓口に行く必要があります。郵送やオンラインでの請求はできません。

手順は以下の通りです:

1. 最寄りの市区町村役場の戸籍課窓口に行く

(どこの市区町村役場でも構いません)

2. 請求書に必要事項を記入する

  • 請求者の氏名、住所、本籍地
  • 必要な戸籍の内容(「出生から死亡まで」など)
  • 使用目的(「相続手続きのため」など)

3. 本人確認書類を提示する

  • 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど
  • 顔写真付きの公的身分証明書が必須です

4. 手数料を支払う

  • 戸籍謄本:1通450円
  • 除籍謄本・改製原戸籍:1通750円

5. 戸籍を受け取る

必要な書類と身分証明書

広域交付制度では、本人確認が厳格になっています。

必要な身分証明書として提示できるものはこちら

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

健康保険証や年金手帳など、顔写真がない証明書では請求できませんので、ご注意ください。

取得できる人の範囲

広域交付制度で戸籍を請求できる人は決まっています。

  • 本人
  • 配偶者
  • 直系尊属(父母、祖父母など)
  • 直系卑属(子、孫など)

代理人による請求はできません。これは、なりすまし防止のための措置です。

新宿区役所で母の戸籍を取得した体験

新宿区役所の外観、体験談

ここからは、私が実際に2024年4月に新宿区役所で母の戸籍を取得したときの体験をお話しします。

手続きの流れと所要時間

母は2024年4月に亡くなり、相続手続きのために「出生から死亡まで」の戸籍が必要でした。

母の本籍地は新宿区と知っていましたが、もともと東京の生まれではありません。昭和12年生まれの母は山口県にいた、大阪にいた時期もある、戦時中は台湾に疎開したなど、ちょっとした昔話を聞いてはいましたが、生まれた県もはっきり覚えておらず、いくつあるか分からない複数の戸籍を集める必要がありました。

広域交付制度のおかげで、新宿区役所だけで全部揃えることができました
広域交付制度が始まっていることを知らず、本籍地で戸籍をとる必要があると思い込んで新宿区役所に行きましたが、最寄りの葛飾区役所でも取得できたんですね。

窓口での手続き自体はとてもシンプルでした

  1. 戸籍課の窓口で「広域交付で母の戸籍を取得したい」と伝える
  2. 請求書に記入(氏名、生年月日、最後の本籍地など)
  3. マイナンバーカードを提示
  4. 待ち時間
  5. 呼ばれて戸籍を受け取り、手数料を支払う

記入や確認の時間は10分程度で、とても簡単でした。

窓口の混雑状況と待ち時間

ただし、待ち時間には注意が必要です。

私が行ったのは平日の午前中でしたが、広域交付制度はシステムで全国の戸籍データを検索・照会するため、処理に時間がかかります

実際の待ち時間は約40分でした

窓口の職員さんによると、「混雑状況によって30分~1時間程度かかることがある」とのことでした。

ですから、時間に余裕を持って行くことをお勧めします。特に、お昼休み前後や月曜日の午前中は混雑しやすいと思います。

費用と支払い方法

費用は以下の通りでした:

  • 戸籍謄本(現在の戸籍) 450円
  • 除籍謄本・改製原戸籍など 750円×4通=3,000円

合計 3,450円

支払いは窓口で行いました。クレジットカードや電子マネーは使えない役所もあるので、現金を持参することをお勧めします

母の場合、結婚と本籍地の移転があったため、5通の戸籍が必要でした。これを以前のように個別に請求していたら、郵送費や小為替の購入手数料も含めて、もっと費用と時間ががかかっていたはずです。

郵送請求という選択肢もあります

郵送で戸籍を取得することもできます。注意点があります。

郵送請求の手順

広域交付制度は窓口でしか利用できませんが、従来通り郵送で戸籍を請求することも可能です。

郵送請求の場合:

  1. 本籍地の市区町村役場のホームページから請求書をダウンロード
  2. 必要事項を記入
  3. 本人確認書類のコピー(運転免許証など)
  4. 手数料分の定額小為替
  5. 返信用封筒(切手を貼ったもの)

これらを封筒に入れて、本籍地の市区町村役場に郵送します。

定額小為替の問題点

郵送請求で一番厄介なのが、定額小為替(ていがくこがわせ)です。

定額小為替は郵便局で購入する金券のようなもので、戸籍の手数料を郵送で支払う際に使います。

問題は:

  • 必要な戸籍の通数が事前に分からないため、金額が確定しない
  • 少なく入れると「不足しています」と連絡が来て再送が必要
  • 多めに入れると、差額を小為替で返送してもらう手間
  • 小為替の購入手数料(1枚200円)がかかる

私が郵送請求を断念した理由

実は私も、最初は郵送請求を考えました。

区役所に行く時間が取れなかったため、「郵送の方が楽かな」と思いました。

ただ、ここで問題があり、母の戸籍がどこに何通あるのか分からない場合、まず「最新の戸籍」を郵送で取り寄せ、届いた戸籍の中身を見て、「その前の本籍地」を確認し、次はそこへ請求、という複数回の作業が発生します。

1ヶ所に定額小為替をいくら分入れればいいのか自信がありませんでしたし、定額小為替になじみがないので、買いに行く方法はわかっても、少しハードルが高いなと感じました。

調べているうちに面倒になってきて、「区役所の窓口に行った方が確実で早い」と判断し、郵送請求は断念しました

広域交付制度があったおかげで、新宿区役所の一か所だけで済んだのは本当に助かりました。

戸籍取得のよくある質問

よくあるQ&A

コンビニで戸籍謄本は取得できる?

戸籍謄本はコンビニでは取得できません

コンビニで取得できるのは

  • 住民票の写し
  • 印鑑登録証明書
  • 戸籍証明書(一部の市区町村のみ、本籍地のもの限定)

広域交付制度も含め、戸籍謄本は必ず市区町村役場の窓口で取得する必要があります。

代理人でも広域交付を利用できる?

広域交付制度では、代理人による請求はできません

必ず本人が窓口に行く必要があります。

相続人Aが
「遠方の役所だから、不動産会社(または司法書士)に戸籍を取ってきてもらおう」と委任状を作成して、
代理人(不動産会社・司法書士・家族)が役所に行く、という場合、広域交付制度で一か所で戸籍を収集するというのはできません。

もし、ご本人が窓口に行けない事情がある場合は

  • 従来通り、本籍地の市区町村役場に郵送請求する
  • 委任状を用意して代理人が請求する(本籍地の役場のみ)

という方法になります。

代理人でも広域交付を利用できる?

広域交付制度では、代理人による請求はできません

必ず本人が窓口に行く必要があります。

相続人Aが
「遠方の役所だから、不動産会社(または司法書士)に戸籍を取ってきてもらおう」と委任状を作成して、
代理人(不動産会社・司法書士・家族)が役所に行く、という場合、広域交付制度で一か所で戸籍を収集するというのはできません。

もし、ご本人が窓口に行けない事情がある場合は

  • 従来通り、本籍地の市区町村役場に郵送請求する
  • 委任状を用意して代理人が請求する(本籍地の役場のみ)

という方法になります。

戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?

戸籍謄本 戸籍に記載されている全員の情報が載っているもの

戸籍抄本 特定の個人の情報だけが載っているもの

相続手続きでは、必ず戸籍謄本が必要です。戸籍抄本では受け付けてもらえません。

また、広域交付制度で取得できるのは戸籍謄本のみで、戸籍抄本は対象外です。

まとめ 相続手続きの第一歩は戸籍取得から

相続手続きは、戸籍謄本の取得から始まります。

2024年3月1日から始まった広域交付制度により、本籍地がどこにあっても、最寄りの市区町村役場で「出生から死亡まで」の戸籍をまとめて取得できるようになりました。

以前のように、複数の市区町村に個別に請求する手間がなくなり、時間も費用も大幅に削減できるようになったんですね。

ただし、以下の点にご注意ください

  • 窓口に行く必要がある(郵送・オンライン取得は不可)
  • 顔写真付きの身分証明書が必須
  • 代理人による請求はできない
  • 処理に30分~1時間程度かかる

実際に私が新宿区役所で母の戸籍を取得したときも、手続き自体は簡単でしたが、待ち時間が40分ほどかかりました。時間に余裕を持って行くことをお勧めします。

郵送請求という選択肢もありますが、定額小為替の金額が事前に分からないため、窓口での取得の方が確実で早いと感じました。

相続手続きは、戸籍取得の後も、遺産分割協議、相続登記、銀行手続きなど、やるべきことがたくさんあります。

戸籍取得でつまずかないよう、新しい制度を上手に活用して、スムーズに進めていきましょう。


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相続手続きは、戸籍取得から始まり、不動産の名義変更、遺産分割協議、そして将来の売却や活用まで見据えて進めることが大切です。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました😊

お読みいただきありがとうございました

この記事の監修者

三橋 弘子(みつはし ひろこ)
大樹不動産株式会社
宅地建物取引士 登録番号(東京)第300498号
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
自身の相続・実家じまいの体験をもとに、借地・底地・相続に関する実務的なアドバイスを発信。
SNSの中の人「みつはし事務員」としてX・Instagramも運用中です。

最終更新日:2025年02月24日

投稿者プロフィール

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