所有不動産記録証明制度とは?相続登記義務化で注目の新制度を解説

📋 本記事のまとめ

  • 令和8年(2026年)2月2日から、「所有不動産記録証明制度」という新しい制度が始まりました
  • 亡くなった親が全国のどこにどんな不動産を持っていたのか、一度の申請でまとめて確認できる画期的な仕組みです
  • 相続登記の義務化により、相続した不動産は3年以内に名義変更が必要ですが、「親がどこに不動産を持っていたのかわからない」というケースが非常に多いという点は、しっかり理解しておきたいポイントです
  • 法務局で証明書を取得するだけで、相続人が知らなかった不動産も含めて一覧で確認できるようになりました
  • 相続登記が必要な不動産を漏れなく確認したい方、過去の相続案件を整理したい方に特に向いています
  • 本記事で制度の概要、申請方法、実例Q&Aを理解した上で、適切に活用していきましょう

目次

所有不動産記録証明制度とは?

法務局で所有不動産記録証明書を申請する様子

所有不動産記録証明制度とは、特定の人が全国に所有している不動産を、一度の申請でまとめて証明書として発行してもらえる制度です。

令和8年(2026年)2月2日から法務局で利用できるようになりました。

所有不動産記録証明制度についてhttps://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html

従来は、不動産の登記情報を確認するには「登記事項証明書」を1つ1つの不動産ごとに取得する必要がありました。しかし、所有不動産記録証明制度を使えば、ある人が所有している不動産の一覧が1枚の証明書で確認することができます。

従来の方法との違い

これまでの方法だと、たとえば親が東京・千葉・埼玉に不動産を持っていた場合、それぞれの法務局で別々に登記事項証明書を取得しなければなりませんでした。

しかも、「どこに何があるか」を事前に知っていることが前提です。

所有不動産記録証明制度なら、全国どこの法務局でも申請できて、その人が所有する不動産が全国から検索されて一覧で出てくるわけです。

特に相続の場面では、これが大きな助けになります。

この制度で何が変わった?

新制度施行の背景

所有不動産記録証明制度が導入された背景には、相続登記義務化があります。

令和6年(2024年)4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人は、相続を知った日から3年以内に相続登記することが義務となりました。

正当な理由なく相続登記を怠ると、10万円以下の過料(かりょう、罰金のようなものです)が科される可能性があります。

しかし実際には、「親がどこにどんな不動産を持っていたのかわからない」という声が多く聞かれました。固定資産税の納税通知書があれば、そこから不動産を把握できますが、納税通知書が見つからなかったり、非課税の土地(評価額が低い土地)は納税通知書に載らないこともあります。

そこで法務省は、相続人が亡くなった人の不動産を漏れなく確認できるよう、所有不動産記録証明制度を導入したというわけですね

令和8年2月2日から変わったこと

令和8年2月2日以降、全国の法務局で所有不動産記録証明書の交付申請ができるようになりました。

相続が発生した場合、相続人はこの証明書を取得することで、被相続人(亡くなった人)が全国のどこにどんな不動産を持っていたのかを一覧で確認できるようになったのです。

これにより、「知らなかった土地」「忘れていた山林」などを見落とすリスクが大幅に減りました。

どんな時に使う制度なの?

所有不動産記録証明制度は、主に以下のような場面で活用されます。

相続について家族で相談している様子

相続が発生したとき

最も想定されている利用場面は相続です。

親が亡くなったとき、相続人は遺産分割協議を行う前に、「亡くなった親がどんな財産を持っていたのか」を確認しなければなりません。

預貯金や株式は金融機関に照会すればわかりますが、不動産に関しては今までなら「どこにあるか」がわからなければ確認のしようがありませんでした。

このような時、所有不動産記録証明書を取得すれば、全国の不動産が一覧でわかり、遺産確認がスムーズに進みます。

相続登記を進めるとき

相続登記義務化により、相続人は3年以内に相続登記をしなければなりません。

しかし登記するには、まず「どの不動産を相続したのか」を把握する必要があります。

所有不動産記録証明制度を使えば、相続登記が必要な不動産を漏れなくリストアップできるので、義務違反を防ぐことができます。

生前整理や終活の場面でも

また、ご本人が生きているうちに「自分がどんな不動産を持っているか」を整理したい場合にも使えます。

所有不動産記録証明書は、本人または相続人(相続が発生した場合)が申請できるので、終活の一環として活用することも可能ですね。

誰が申請できるの?

所有不動産記録証明書を申請できる方々はこのように決まっています。

本人(所有者本人)

不動産を所有している本人は、自分の所有不動産記録証明書を申請できます。

生前整理や財産管理のために、自分が全国にどんな不動産を持っているのかを確認したいときに利用できます。

相続人

被相続人(亡くなった人)が所有していた不動産の記録証明書は、その相続人が申請できます。

相続人であることを証明するために、戸籍謄本などの書類が必要になります。

代理人

本人や相続人から委任を受けた代理人も、申請が可能です。

たとえば、司法書士や弁護士に依頼して、所有不動産記録証明書を取得してもらうこともできます。

申請方法と必要書類は?

相続に必要な戸籍謄本や申請書類

申請方法

所有不動産記録証明書は、書面請求またはオンライン請求が可能です。

  • 書面請求: 法務局の窓口に直接持参、または郵送で申請
  • オンライン請求: 法務局の登記・供託オンライン申請システムから申請

オンライン請求の場合、手数料が若干安くなります。また、証明書の受け取りは窓口交付か郵送交付のいずれかを選択できます。

オンライン請求の詳細は、法務局のウェブサイトをご確認ください。

必要書類(相続人が申請する場合)

相続人が被相続人の所有不動産記録証明書を申請する場合、以下の書類が必要です。

【必須書類】

  • 印鑑証明書(申請書には実印を押印する必要があります。発行期限はありません)
  • 戸籍謄本(被相続人と相続人の関係を証明するもの)
  • 申請者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 申請書(法務局のホームページからダウンロード可)

【場合によって必要な書類】

  • 過去の氏名や住所を検索条件とする場合 → 戸籍の附票の写し、住民票の写しなど
  • 被相続人の過去の氏名や住所を検索条件とする場合 → 除籍謄本、除かれた戸籍の附票の写しなど

代理人が申請する場合は、上記に加えて委任状(請求人の実印押印+印鑑証明書添付)が必要です。。

手数料

所有不動産記録証明書の交付には、手数料がかかります。

手数料は1つの検索条件につき1通当たり以下の金額です:

  • 書面請求: 1,600円
  • オンライン請求(窓口交付): 1,500円
  • オンライン請求(郵送交付): 1,470円

たとえば、4つの検索条件を指定して申請した場合、書面請求なら4 × 1,600円 = 6,400円となります。

全国の不動産を一覧で確認できることを考えると、個別に登記事項証明書を取得するよりもコストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。

オンライン請求のメリット

オンライン請求を利用すると、以下のメリットがあります:

  • 手数料が書面請求より安い(最大130円お得)
  • 自宅からいつでも申請できる
  • 郵送交付を選べば、法務局に行く必要がない

ただし、オンライン請求の操作に不慣れな方は、窓口での申請のほうがスムーズかもしれません。

相続登記義務化との関係

相続登記義務化とは?

令和6年4月1日から、相続登記が義務化されました。

不動産登記法第76条の2(令和3年法律第24号による改正)により、相続や遺贈によって不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならないことになっています。

正当な理由なくこれを怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

参考法令: 不動産登記法第76条の2(令和3年法律第24号による改正) | 法務省公式サイト

所有不動産記録証明制度が義務化対応を助ける

相続登記を義務通りに行うには、まず「どの不動産を相続したのか」を正確に把握する必要があります。

しかし実際には、「親が昔買った山林」「遠方にある土地」など、相続人が知らない不動産が存在することがあります。

所有不動産記録証明制度を使えば、相続登記が必要な不動産を漏れなく確認できるので、義務違反を防ぐことができるわけです。

過去の相続にも適用される

相続登記義務化は、令和6年4月1日以前に発生した相続にも遡って適用されます。

つまり、「何十年も前に親が亡くなって、そのままになっている不動産」も、令和9年(2027年)4月1日までに相続登記をしなければなりません。

所有不動産記録証明制度は、こうした過去の相続案件を整理する上でも非常に有用です。

実例Q&A:こんなケースはどうなる?

実例Q&Aと家のイメージ

ここからは、実際によくあるケースをQ&A形式でご紹介します。

Q1:親が複数の不動産を所有していたケース

【質問】

父が亡くなりました。実家の土地・建物があることはわかっているのですが、父は昔、投資目的で地方の土地も買っていたようです。ただ、どこに何があるのか、父は生前何も話してくれませんでした。固定資産税の納税通知書も見つかりません。こんな場合、所有不動産記録証明制度は役立ちますか?

【回答】

はい、まさにこのような場面で所有不動産記録証明制度が活躍します。

あなたが相続人であることを証明する戸籍謄本などを持って法務局に申請すれば、お父様が全国に所有していた不動産の一覧が記載された証明書を取得できます。

これにより、「知らなかった土地」「忘れていた山林」なども含めて、すべての相続不動産を把握できるようになります。

その上で、遺産分割協議を行い、相続登記を進めていくことができます。

固定資産税の納税通知書が見つからない場合でも、所有不動産記録証明書があれば遺産確認が可能です。

Q2:相続登記が漏れていた事例

【質問】

10年前に母が亡くなったとき、実家の土地と建物の相続登記はしました。ところが最近、母名義の土地が他にもあることがわかりました。母の兄弟から「昔、共有で買った土地がある」と聞いたのですが、どこにあるのか正確な住所がわかりません。相続登記義務化で罰則があると聞いて心配です。どうすればいいでしょうか?

【回答】

こちらも所有不動産記録証明制度が役立つケースです。

令和8年2月2日以降、お母様の所有不動産記録証明書を取得することで、お母様名義の不動産がどこにあるのか一覧で確認できます

相続登記義務化は過去の相続にも遡って適用されますが、令和9年4月1日までに登記すれば義務違反にはなりません。

所有不動産記録証明書で不動産を特定したら、速やかに相続登記の手続きを進めましょう。

もし自分で手続きが難しい場合は、司法書士に依頼することをお勧めします。

Q3:評価額が低い土地で納税通知書に載っていないケース

【質問】

父が山奥に持っている土地があるらしいのですが、固定資産税が非課税のため納税通知書には載っていません。父も「どこだったか忘れた」と言っています。こういう土地も所有不動産記録証明書に出てきますか?

【回答】

はい、固定資産税が非課税の土地でも、登記されていれば所有不動産記録証明書に記載されます

固定資産税の納税通知書は、あくまで「課税対象の不動産」しか載りませんが、所有不動産記録証明書は「登記されている不動産」すべてが対象です。

ですから、評価額が低くて非課税になっている山林や原野なども、登記されていれば証明書に出てきます。

お父様が生前に自分の所有不動産記録証明書を取得しておけば、「どこだったか忘れた」という土地も確認できるでしょう。

利用する際の注意点

所有不動産記録証明制度を利用する際の注意点

所有不動産記録証明制度は非常に便利な制度ですが、いくつか注意点もあります。

登記されていない不動産は記載されない

所有不動産記録証明書に記載されるのは、登記されている不動産だけです。

未登記の建物や、登記がされていない土地(非常に稀ですが)は記載されません。

相続財産を完全に把握するには、所有不動産記録証明書だけでなく、固定資産税の納税通知書や権利証なども併せて確認することが大切です。

証明書の有効期限

所有不動産記録証明書には、発行時点の情報が記載されます。

発行後に不動産を売却したり、新たに購入したりした場合は、証明書の内容と実際の所有状況が異なることになります。

相続手続きの際には、できるだけ最新の証明書を取得するようにしましょう。

共有持分も記載される

不動産を他人と共有している場合、所有不動産記録証明書には共有持分も記載されます

たとえば、「A土地の持分2分の1」といった形で出てきます。

相続登記を行う際には、共有持分の扱いにも注意が必要です。

抵当権などの権利関係はわからない

所有不動産記録証明書は、あくまで「どこにどんな不動産を持っているか」を示すものです。

その不動産に抵当権が設定されているか、借地権がついているかといった権利関係の詳細は、別途登記事項証明書を取得して確認する必要があります

検索条件は正確に記載する

所有不動産記録証明書は、申請書に記載された検索条件のみで検索されます

たとえば、登記記録上の住所・氏名と検索条件の住所・氏名が異なる場合、所有不動産があっても検索結果として抽出されない可能性があります。

検索条件を記載する際は、登記事項証明書や固定資産税の納税通知書などで、正確な氏名・住所を確認してから申請することをお勧めします。

該当不動産がない場合でも手数料は返還されない

重要な注意点として、検索の結果、該当する不動産が抽出されなかった場合でも、手数料は返還されません

その場合は「該当不動産がない旨」が証明書に記載されます。

無駄な手数料を払わないためにも、事前に可能な限り情報を集めてから申請するようにしましょう。

複数の検索条件を指定できる

1つの申請で複数の検索条件を指定することができます。

たとえば、「現在の住所・氏名」と「過去の住所・氏名」の両方を検索条件として指定できます。

ただし、手数料は検索条件ごとに加算されるので注意が必要です。

まとめ

不動産の専門家に相談している様子

所有不動産記録証明制度は、令和8年2月2日から始まった新しい制度で、全国に所有している不動産を一度にまとめて確認できる画期的な仕組みです。

特に相続の場面では、「親がどこにどんな不動産を持っていたのかわからない」という悩みを解決してくれます。

相続登記義務化により、相続した不動産は3年以内に名義変更をしなければならなくなりました。所有不動産記録証明制度を活用すれば、相続登記が必要な不動産を漏れなく確認でき、義務違反を防ぐことができます

申請は全国どこの法務局でもでき、相続人であれば戸籍謄本などを持参することで申請可能です。

ただし、登記されていない不動産は記載されないこと、権利関係の詳細は別途確認が必要なことなど、注意点もあります。

相続が発生したら、まず所有不動産記録証明書を取得して遺産確認を行い、その後、遺産分割協議や相続登記をスムーズに進めていきましょう。

もし「手続きが複雑で不安」「相続登記をどう進めればいいかわからない」という場合は、専門家に相談することをお勧めします。

参考リンク: 所有不動産記録証明制度について | 法務省


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最後までお読みいただき、ありがとうございました😊

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この記事の監修者

三橋 弘子(みつはし ひろこ)
大樹不動産株式会社 宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級
宅地建物取引士 登録番号(東京)第300498号
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最終更新日:2026年3月17日

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