借地権 相続 手続き 完全ガイド|地主さんへの通知・登記義務も解説

借地 相続 イメージ

今回は「借地権を相続したときに必要な手続き」について解説します。借地権は土地を所有する「所有権」とは違い、地主さんとの賃貸借契約書に基づく権利です。そのため、借地権 相続 手続きは通常の不動産よりも確認や準備が複雑なのでは、と心配されるかもしれませんが、ポイントを押さえて順番に沿っていけば落ち着いて進めることができます。

目次

  1. 借地権とは?相続の対象になるの?
  2. 借地権 相続 手続きの流れ
  3. 相続登記の義務化と借地権
  4. 地主への通知と承諾が必要なケース
  5. トラブルになりやすい注意点
  6. 相続税との関係と評価の考え方
  7. 専門家活用のすすめ
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|借地権 相続 手続き は放置せず、早めの対応が大切


1. 借地権とは?相続の対象になるの?

借地権とは?イメージ

まず前提として「借地権」がどのような権利なのかを整理しましょう。


借地権とは、他人が所有する土地を借りて建物を建てる権利で、「財産権」として法律上の価値を持ちます。そのため、被相続人(死亡した方)が借地人だった場合、借地権は遺産として相続や遺贈の対象になります。一般的に、相続(当然承継)で移る場合、地主の承諾は原則不要で、承諾料を支払ったりする必要もありません(売買等は別です)。

なお、契約には普通借地権・定期借地権などの種類があり、契約の定めや存続期間(契約の存続)により運用が異なります。ご家庭の目的(居住継続/売却/建て替え等)に応じて確認しておくとよいですね。


2. 借地権 相続 手続きの流れ(必要書類の一覧付き)

次のフローが一般的です。各段階で準備する書類や費用、スケジュールの設定をしておくと円滑です。

借地権を相続した場合の手続きフロー

ステップ1:相続発生(死亡届)

  • まずは、市区町村へ死亡届を提出。ここから相続の手続きがスタートです。
  • 被相続人が亡くなった直後は各種解約・名義変更など「やらなければならないこと」が多いので、書類一覧で抜け漏れを確認しましょう。

ステップ2:相続人の確定・遺言の有無確認

  • 亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍を取得することで、法定相続人(法律上で決まっている相続人のことです)を確定します。その上で、遺言書があればその旨に従うことになります。(例:「借地権を長女に遺贈する」など)。
  • 相続人が一人だけのケースでも戸籍の確認は必要になりますので、注意してください。

ステップ3:遺産分割協議

  • 遺言がなければ、相続人同士で「誰が借地権を引き継ぐか」を話し合います。もちろん共有も可能ですが、建て替えや売却、契約更新のときに全員の合意が必要になるため、将来の手間を考えると単独名義にしておいた方が無難なケースが多いです。

ステップ4:相続登記(3年以内・法務局へ申請)

  • 2024年4月以降は相続登記が義務化されました。相続登記とは「相続した土地・建物について、所有者の変更登記をすること」です。借地権付き建物や借地権の名義変更を法務局へ申請。期限超過は過料(罰金)になるリスクもありますので是非早めに手続きを行ってください。
  • 手続きにかかる費用は依頼内容によって異なりますが、専門家にお願いしたほうが結果的に時間と労力の節約につながることも多く、総合的に見るとお得なケースもあります。

ステップ5:地主へ通知・地代請求先の名義変更

  • 承継自体に承諾は不要ですが、借地人が変わったことを通知するのがマナーとも言えます。
  • 地代の引落口座を変更する、振込の場合は新しい振込人の名義をお知らせするなど、地主側の支払管理のためにも早めの通知が良いです。

ステップ6:将来の建て替え・売却予定の確認

  • 今後建替えや売却を検討している場合は、地主の承諾が必要となるケースがあります。承諾料や条件を事前に整理しておくと、将来のトラブルを防げます。地域の相場や割合感は不動産会社や専門家へ確認してみるとよいでしょう。

ステップ7:維持管理・契約更新

  • 契約期間が満了する際は更新料や条件を確認し、地主と合意をして更新手続きを進めます。旧法借地権での契約更新は20年以上と長期間の契約になります。更新時に設定の見直しを行い、あいまいな条件は覚書で明確化しましょう。建物や土地の維持管理も重要なポイントです。
  • 更地返還か継続利用か目的により交渉が変わってきますので、流れや交渉の仕方についても専門家へ相談したほうが安心です

📓相続でよく使う書類一覧

建物の登記事項証明書/地代の支払記録(口座振替明細など)

被相続人の戸籍(除籍・改製原)一式/相続人の戸籍・住民票

遺言書(公正証書・自筆)/遺産分割協議書

借地の賃貸借契約書/固定資産税納税通知書



3. 相続登記の義務化と借地権

相続登記の義務化

2024年4月からは、相続登記が義務になりました。「相続登記」とは、相続によって持ち主が変わった土地や建物について、所有者を登記簿に反映させることです。

借地権も対象になりますので、借地に建つ建物や借地権そのものの名義変更を3年以内に行う必要があります。もし放置すると、過料(罰金)を科される可能性があります。

登記をしないと

  • 地代の請求先があいまいになり、地主さんとの関係が悪くなる
  • 売却や建て替えをしようとしても手続きが進まない
  • 時間が経つうちに相続人が増えたり、転居などで話し合いが難しくなる

といったトラブルがおきることもあります。

登記の手続き自体は自分で行うこともできますが、書類の準備や不備があったときの対応を考えると司法書士にお願いするのが安心です。
自治体や法務局には無料相談できる場所があるので、まずは情報収集から始めてもいいですね。

ちなみに、当社で売却をされる場合の相続登記はこちらで手配させていただきます(相続登記の料金も当社負担となります)


4. 地主への通知と承諾が必要なケース

地主へ通知

相続自体には地主の承諾は不要ですが、実務的には相続が発生したことを通知し、今後だれが地代を支払うのかを明確にしておく必要があります。

また、以下のケースでは地主の承諾が必要です。

  • 借地権を第三者に売却するとき
  • 借地上の建物を建替えるとき
  • 契約更新時に承諾料が発生する契約になっているとき

相続をきっかけに、借地契約の内容を見直す良いタイミングになることもあります。地代や更新料の価格が適正なものか、契約期間・更新条件、増改築の可否など、実態に合っているかを確認しましょう。過去に承諾料を支払った記録がある場合は、その内容を確認しておくと後々のトラブル防止になります。

また、「更地にして返すか」「そのまま使い続けるか」など、どういう目的で借地を維持するのかによって交渉の内容も変わります。相場や条件は地域ごとに違うので、不動産会社や専門家に相談すると安心です。


5. トラブルになりやすい注意点

トラブルのイメージ

借地権の相続で特に注意したいポイントをまとめました。

  1. 相続人が複数いて共有になってしまう
    借地権を兄弟で共有すると、将来の売却や更新手続きで全員の合意が必要になり、身動きが取れなくなることがあります。
  2. 地代や更新料の滞納
    相続をきっかけに支払いが滞ると、地主から契約解除のリスクが生じます。口座変更などは早めに済ませましょう。。
  3. 契約書が古く内容が不明確
    昭和のころに結んだ借地契約では更新条件が曖昧なことも多く、トラブルの原因になります。契約条項を読み直し、必要に応じて覚書で条件を明確化しましょう。
  4. 建替え・増改築の承諾
    古家(ふるや)の老朽化で建替えが必要な場合、承諾料や条件交渉が発生することがあります

6. 相続税との関係と評価の考え方

借地権は相続税の対象になります。計算は「土地の価格 × 借地権割合」で行うのが基本です。

たとえば、土地の時価が5,000万円で借地権割合が60%なら、評価額は3,000万円になります。この金額が遺産の一部として相続税の申告に使われるわけです。

定期借地権の場合は、契約期間や条件によって評価が変わりますので注意してください。

また、相続や遺贈のいずれでも課税対象になります。相続税の申告期限は「相続が始まってから10か月以内」。期限を過ぎないように気をつけましょう。

専門的な部分は税理士に依頼するのが安心です。自治体や法務局でも無料相談が紹介されていることがありますので、うまく活用してみてください。

なお、土地以外にも建物や預貯金などがある場合は、全体の資産バランスを考えたうえで評価を進めることが大切です。


7. スムーズに進めるための専門家活用のすすめ

専門家と協力して取り組みます

借地権の相続は、自分たちだけで解決しようとすると大変なことも多いです。そんなときは専門家に頼るのがおすすめです。

  • 司法書士: 相続登記や遺産分割協議書の作成など、法務局関連の手続き
  • 税理士: 相続税の評価・申告、節税のアドバイス
  • 不動産会社: 借地権の活用・売却・更地返還、地主との調整、建て替えの相談など

当社、大樹不動産でも、借地権や底地の売却・相続に関するご相談を多くいただいています。地域密着の経験を活かして、地主さんとの調整や専門家との橋渡しを行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。


8. よくある質問(FAQ)

借地権について、よくいただくご質問をまとめてみました

Q&A

借地権を兄弟で共有したままでも大丈夫?

管理・意思決定が難しくなりがちです。将来の売却や更新時に全員の合意が必要になり、停滞の原因になります

相続による承継でも承諾料は必要?

法律上「当然承継(自動的に引き継がれること)」とされているため、相続による承継では地主の承諾や承諾料は不要です。
ただし、その後の売却や建替え等では承諾が必要な場合があります

建替えを考えているが、誰にいつ相談したらいい?

設計を始める前に、まずは不動産会社へ早めに相談するのがおすすめです。
地主に承諾を得る際の条件整理や、登記・契約のチェックなどもサポートしてもらえます。
必要に応じて、司法書士や弁護士、建築士といった専門家とも連携できるので安心です。

借地契約の期間が終わりそうな時期に借地権を相続しました。地主さんに土地を返さなくてもいいのでしょうか?

借地権は「相続によってそのまま引き継がれる権利」です。相続したからといって、すぐに地主さんに土地を返さなければならないわけではありません。

ただし、注意が必要なのは「契約期間の満了」のときです。地主側から提示される更新料が高くてびっくりされるというケースもあります。少し早めに準備はした方がいいですね。
借地権の契約内容を確認して、満了の1年前には準備、半年以上前には必ず相談いただくと安心です。

9. まとめ|借地権 相続 手続き は放置せず、早めの対応が大切

借地権の相続は、承諾不要で相続できる一方、登記や地主への通知を怠ると大きなトラブルにつながります。

  • 借地権は相続財産として当然に承継される
  • 相続登記は3年以内に行う義務がある
  • 地主への通知は礼儀としても、トラブル防止としても重要
  • 共有にすると将来の手続きが大変になりやすい

🍀大樹不動産では、「借地権 相続 手続き」をはじめ、
「借地権」「底地」「相続」に関するご相談や、
共有持分など権利関係が複雑な物件のご相談も承っております🍀

借地権の相続は、地主さんとのやり取りや相続登記の手続き、そして将来の建て替え・売却まで見据えて進めることが大切です。

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