実家ロスを乗り越える方法 !手放すつらさを受け入れる(体験談)


実家にを売ろうと決めたイメージ

今回は『 実家ロスを乗り越える方法 』についてお話します。

「実家を売ろうと思っているけれど、どうしても気持ちがついてこない」
「手放すことに、どこか罪悪感を覚えてしまう」

そういった声を、よくお聞きします。
この記事では、実家を手放すときに感じる“心のつらさ”に焦点を当てて、私自身の体験をもとにお伝えします。

実家ロスとは?なぜつらいのか

つらさのイメージ


「長い時間、家族が過ごした家」は単なる建築物ではありませんよね。
たくさんの思い出が詰まっています。
たとえ、帰る機会が少なくなっても、心のよりどころとして存在しているのではないでしょうか。

そのため、「もう両親はいない」「管理もしきれない」「売却したほうがいい」など頭ではわかっていても、
心がそれに追いつかず、拠りどころが無くなるという喪失感に襲われることも。
ふとした瞬間に寂しさがこみあげてくる……
そんな経験をされる方も多いのではないでしょうか。

私自身の実家じまい体験

2024年、私の実母が他界しました。
亡くなる前の2年は、私たち家族と同居していたので、実家のマンションの部屋は空き状態ではありましたが、
母が「家と思い出の品々を処分できない」というので、同居後も部屋の中はそのままにしてありました。

私の父は20年以上前に亡くなっており、母もいなくなって、いよいよ家をどうするか考えることに。
荷物がかなり多かったため、知り合いの業者さんにお願いして、すべて片づけていただきました。

片付けが終わったのが同じ年の11月ごろ。
そこから「リノベーションをして貸し出すか、売却するか」を検討し、最終的にはリノベーション工事はせず売却することに決めました。
2025年の4月に売却先が決まりましたので、実家じまいに約1年ちょっとかかったことになります。

葬儀から、納骨、行政の手続き、入院費の支払い、相続登記などに加えて
日々の仕事や育児と、目の前のことでいっぱいで、実家についてゆっくり考える余裕もありませんでした。
それなのに、売却先が決まった途端、「実家がなくなるんだ」という実感が湧き、心にぽっかりと穴があいたような気持ちになったんです。

ふと、実家にいたときの思い出が頭に浮かんだり、両親のことを思い出したりして、眠れなくなったり、食欲が落ちたりと、そわそわ落ち着かない気持ちになりました。

不思議なもので、両親が亡くなったことはわかっているのに、実家があるから、2人がいるような無意識の感覚もあったのかもしれません。
両親が亡くなったときと同じように、家を手放すときも、喪失感や哀しみがあり、両親との思い出も一緒に見送ることになるのかもしれない、と気づきました。

「実家ロス」は「グリーフ」のひとつかもしれません

「グリーフ(Grief)」とは、大切な人や物、環境を失ったときに感じる深い悲しみや喪失感のことです。
一般的には「身近な人を亡くしたとき」に感じるものとして知られていますが、実は「住み慣れた家」とのお別れでも、同じような心の反応が起こることがあるそうです。

こうした心の動きは自然なもので、無理に気持ちを切り替えようとせず、やはり少しずつ受け止めていくことが大切です。

売却 が決まるまでの説明 イメージ

実家ロスを乗り越えるために私が試した7つのこと

まだ、さびしさの中にいるものの、現実の整理と、気持ちの整理をしておきたいと思い、7つ試したことがあるので、書き出してみます。

「整理などせず、心が落ち着くまでじっと待ちたい」と思う方もいらっしゃると思いますので、違うと感じたら読み飛ばしてくださいね。

1. 実家じまいの「メリット」を見つめ直す

悲しみや寂しさの中でも、現実的なメリットに目を向けることは大切です。

  • 売却により、まとまった現金が入る
  • 維持費(管理費・固定資産税・修繕積立金など)を今後払わずに済む
  • 空き家にして老朽化させるリスクを避けられる

私の実家は200戸以上ある分譲マンションの1室でしたが、室内はかなり傷んでおり、賃貸として貸し出すにはフルリノベーションが必要でした。
リフォーム費用は、数年前に比べて約1.5倍に高騰していました。所有し続ける選択肢がどれだけコストや手間を生むのか、しっかり検討したことで、「手放すのが正解だった」と納得することができました。

実家 売却 メリット

2. 実家を保有し続けた場合の「デメリット」を考える

逆に 「もしこのまま持ち続けたら?」と考えてみるのもひとつの方法です。

  • 老朽化による維持管理の手間
  • 遠方にある場合の定期的な手入れが困難
  • 誰も住まない空き家は防犯・災害リスクが高まる
  • 相続後の兄弟間トラブルの可能性

私の場合は兄弟とのトラブルはなく、マンションは管理が行き届いているので部屋の外に関しては維持管理や手入れは不要でしたが、
誰も住んでいない部屋の毎月の管理費・修繕積立金を払い続けることが負担でした。
気持ちの整理はつかなくても、「現実的に考えると、持ち続けるのは難しい」という判断が、前に進む一歩になります。

メンテナンスが必要なイメージ

3. 幼なじみに話を聞いてもらう

感情の整理には、誰かに話すことがとても有効です。

仲良しの友達イメージ

私は、同じマンションで育った幼なじみに「実家がなくなるのは寂しい」と話したところ、寂しい気持ちに寄り添ってくれました。
「ひろこちゃんの家、覚えてるよ。冷蔵庫にシールが自由に貼ってあったの、私の家では怒られるから羨ましかったかも(笑) ママが優しかったね」と思い出も話してくれました。

私自身が気づかなかったような家の印象を、友人の口から聞けたことで、
「思い出はちゃんと残っているんだな」と、心がすこし楽になった気がしました。

4. 写真を整理する


実家の写真や家族との思い出の写真を整理することで、「大切な思い出を残す」という作業にもなります。

母が生前、たくさんの写真をアルバムにして持たせてくれていたので、それを見返しながら
「このとき、こんなことがあったなぁ」と懐かしみ、気持ちを落ち着ける時間を持てました。

5. 手帳やスマホに思いを書きとめる

実家ロスのつらさ ノートに書きだすイメージ

気持ちを整理するには、「書くこと」がとても効果的です。

私は普段からなんでも書いているノートに、実家を手放すときの気持ちも書き残しました。

「寂しいな」「父や母に会いたいな」「幸せな時間があったな」——
思ったことを素直に書くことで、頭の中がスッキリしていきました。
このブログも、そのノートがきっかけになっています。

6. 瞑想を取り入れる、 ストレッチで固まった体を伸ばす

夜寝る前、YouTubeでガイド瞑想の音源を聴いたり、静かな音楽に耳を傾けたり。また、思い詰めて固まった首回りや背中を伸ばすストレッチをしました。

瞑想もストレッチも、特別な道具やスキルがいりません。夜寝る前などに5分だけでも続けると、気持ちと体が軽くなってきます。
瞑想したことがないという方は、初心者向けガイドをしてくれる動画やBGMも豊富にあります。音声に合わせて流れに乗せるのというのもオススメです。



ストレッチ・瞑想のイメージ画像

7. 悲しい気持ちも、罪悪感も、無理に否定しない

最後に一番大切なのは、「つらい」と感じる気持ちを無理に消そうとしないこと。

人は大切なものを失ったとき、悲しむことで自分を癒していきます。
「親との別れがつらい」「実家がなくなるのが寂しい」と思うのは自然な感情です。
悲しくていいんです。泣きたくなったら泣いていいし、懐かしさにひたってもいいんです。

時間薬という言葉があります。時間が経てば、いろいろな気持ちは少しずつ、やわらいでいきます。
無理に前向きになろうとせず、自分のペースで気持ちに向き合う時間を持つこと。
そのうち、「ああ、前に進んでいってもいいんだ」と思える日が、きっと来ると思います。

前向きになれるイメージ

心の整理に役立つおすすめ本📚

実家を手放すことの辛さや葛藤は、小説でもたびたび描かれています。
以前ご紹介したこちらの作品も、相続や空き家の問題に向き合う物語です。

📚 相続・空き家をテーマにした小説の紹介はこちら

登場人物の心の動きに共感したり、フィクションだからこそ冷静に受け止められる気づきもあるかもしれません。
気持ちの整理に悩んでいる方、相続が気になっている方にもおすすめです。

また、心身の不調、心の整理がつかない方にはグリーフケア(グリーフとは死別だけでなく、別離、病気、怪我、災害による住まいの喪失など、様々な喪失体験によって引き起こされる心身の反応です)の本も。
誰にも言えず抱え込んでいるなら…この本が支えになるかもしれません



井手敏郎さんの著書、「大切な人をなくしたあなたに知っておいてほしい5つのこと」です。
これは日本グリーフ専門士協会がインターネットで開催している「グリーフサロン」を紙上に再現しています。
大切な人との死別を経験した5人の登場人物がサロンで喪失体験を語ります。
対話形式で読みやすく、喪失によって何が起こるのか、心の反応、体の反応、周囲との関わりの変化、心の痛みを手離すためのワークが分かりやすく書かれています。
気になる方は手に取ってみてください。

→📘「大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと」(amazon)
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まとめ:実家ロスは誰にでも起こること 受け入れてこそ前に進めます

実家を手放すのは、物理的な作業以上に「心の作業」が必要です。
実家ロスに悩むのは、あなただけではありません。でも、その気持ちにきちんと向き合えば、やがて前を向く日がやってきます。

私自身、今では、家族との思い出は心の中にしっかり残っていて、それで十分だと思えるようになりました。

感じ方は人それぞれですし、家や家族との関わり方にもよって違ってくるものですが、
同じように悩んでいる方のヒントになれば、嬉しいです。


※この記事では、精神的な部分にフォーカスしましたが、
別の回で「実家を手放す・保有するメリットデメリット」について、不動産の視点から詳しくお伝えする予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました😊

Thankyou for reading!

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taiju-fudousan